数学・化学・物理
上智大学理工学部化学科

相澤一輝 

Q1:なぜ数学、物理、化学の理系3教科を1人で教えているのですか

理由は2つあります。一番は「効率が良い」ということです。数学、物理、化学は「量」を扱うので、その解法には共通の考え方があります。微積分など数学と物理の関係は有名ですが、「大学入試問題」という観点から数学と化学にも共通する問題がいくつかあります。例えば数学の「場合の数」で、白と黒の碁石を円形に並べる問題があります。場合の数の問題としてはやや難しめな部類に入るので、解いたことのない人もいるかもしれません。しかし化学では、芳香族の「異性体」の問題で、ほぼ同じ内容の問題を基本例題で扱うことになります。また、素晴らしい数学の参考書はいくつもありますが、その中でも「この問題は物理っぽく解けば一発なのに」ということもよくあることです。逆ももちろんあります。「ここは数学的に説明した方が分かりやすいんだよな」と。3教科を一人で教えればこのように共通する部分を具体的に指摘できるので、効率的により深く問題を理解することができます。医学部に合格するために数学、物理、化学で身につけなくてはいけないことは非常に多いですが、これらに共通の考え方を学ぶことにより、科目内はもとより教科間でもバラバラだった知識が有機的につながりコンパクトになるので、勉強が進めばこれら3教科の内容が手の内にあるような状態になります。

2番目の理由は、数学、物理、化学を統一的な視点で教えたいからです。私が受験生のころ、物理で素晴らしい参考書に出会って今まで腑に落ちなかったことが次々と腑に落ちる経験をしたことがあります。このとき他教科でよく分からない問題に出会うたびに「この先生だったらこの問題をどうやって解説してくれるんだろう」と思っていました。「分かりやすい解説」というのは数学も物理も化学もありません。ある教科が分かりやすい先生が他教科を本気で教えればその教科も同じように分かりやすいと信じています。私は大学受験の数学、物理、化学を教えるようになってから20年経ちます。例えば私の化学が分かりやすいと感じた人は数学も物理も同様に分かりやすいと感じると思います。

Q2:数学、物理、化学を教えているということは、
相澤先生は元々理系教科が得意だったのでしょうか?

全く逆です。理系教科は大の苦手でした。だからこそ数学、物理、化学の講師になったとも言えます。受験生時代は自分が理系人間か文系人間かと言われたら、迷わず文系人間と答えていました。今でもその認識はあまり変わりません。たまに理系のセンスのある生徒さんに出会いますが、本当に羨ましく思います。しかしながら「分かりやすく教える」という観点からすると「理系教科が大の苦手」だったことが私の非常に大きな強みになっています。

あることを理解しようとすると必ず難所がいくつかあります。人によってどの難所に捕まるかは違います。センスのある人はほとんどの難所を難所と認識せずに通過できる人です。一方私はというと、ほとんどすべての難所で捕まっていました。たいていの人が素通りできるところでさえ私には難所でした。しかし私にとっては難所でも、先生も参考書もそれを難所と認識していなかったので、誰もその通り方を教えてくれませんでした。自力で乗り越えるしかなかったのです。苦手を克服する過程で「何でこういう言い方をしてくれなかったんだ!こう説明してくれたら分かったのに」と何度やるせない気持ちになったか分かりません。

このようにほとんどすべての「難所」を把握し、そのすべてを乗り越えて来たので、難しい問題ほど「分かりやすく」解説できると思います。

Q3.教える際に心がけていることは何ですか

大きく2つあります。1つ目は、なるべく抽象性を排除し具体的にそしてシンプルに解説することです。抽象的な問題でもイメージが湧き実感として理解できるような「腑に落ちる」解説を常に目指しています。そのために映像授業の強みを存分に生かすことも心がけています。授業では、ある具体的なイメージを持って解説することが結構あります。ライブ授業でもそのイメージをいちいち板書できればより分かりやすくなるのですが、時間的制約、テンポを考えると難しい面があるので重要なもの以外はできません。しかし映像授業では違います。「映像」なら板書以外にもそのイメージをテンポよく伝える方法があるので、その最大限の活用に努めています。

2つ目は、解法をただ分かりやすく伝えるだけではなく「なぜその解法をとるのか」その発想の根拠を明確にすることです。皆さんも、授業などで解法だけの説明を受けて「問題の解き方は分かったからなぜそのような解法をとろうという発想になったのか教えてくれよ」と思ったことはないでしょうか。その感覚は非常に正しいです。問題の解き方だけ理解し覚えても、その発想の根拠が分からないと、次に同じような問題が違う角度から問われたときに、その解法が適用できるかどうか分からないからです。発想の根拠を明確にすることで初見の問題でも解き切る力が付くのです。

Q4.私立医学部を目指す受験生にメッセージをお願いします

現在私立医学部に合格するのは本当に難しいです。多少能力があっても私立医学の特徴に沿った的確な勉強をしていなければ何年浪人しても受かりません。しかし、基礎力を付けて私立医学部対策にしっかり取り組めば、能力で劣っていても試験には合格できます。はやぶさの授業は基礎力養成と私立医学部対策を両立させる非常に質の高い授業です。授業にしっかり取り組んでくれれば合格は見えてきます。我々も全力を尽くします。一緒に頑張って勉強して行きましょう。