理由は2つあります。一番は「効率が良い」ということです。数学、物理、化学は「量」を扱うので、その解法には共通の考え方があります。微積分など数学と物理の関係は有名ですが、「大学入試問題」という観点から数学と化学にも共通する問題がいくつかあります。例えば数学の「場合の数」で、白と黒の碁石を円形に並べる問題があります。場合の数の問題としてはやや難しめな部類に入るので、解いたことのない人もいるかもしれません。しかし化学では、芳香族の「異性体」の問題で、ほぼ同じ内容の問題を基本例題で扱うことになります。また、素晴らしい数学の参考書はいくつもありますが、その中でも「この問題は物理っぽく解けば一発なのに」ということもよくあることです。逆ももちろんあります。「ここは数学的に説明した方が分かりやすいんだよな」と。3教科を一人で教えればこのように共通する部分を具体的に指摘できるので、効率的により深く問題を理解することができます。医学部に合格するために数学、物理、化学で身につけなくてはいけないことは非常に多いですが、これらに共通の考え方を学ぶことにより、科目内はもとより教科間でもバラバラだった知識が有機的につながりコンパクトになるので、勉強が進めばこれら3教科の内容が手の内にあるような状態になります。
2番目の理由は、数学、物理、化学を統一的な視点で教えたいからです。私が受験生のころ、物理で素晴らしい参考書に出会って今まで腑に落ちなかったことが次々と腑に落ちる経験をしたことがあります。このとき他教科でよく分からない問題に出会うたびに「この先生だったらこの問題をどうやって解説してくれるんだろう」と思っていました。「分かりやすい解説」というのは数学も物理も化学もありません。ある教科が分かりやすい先生が他教科を本気で教えればその教科も同じように分かりやすいと信じています。私は大学受験の数学、物理、化学を教えるようになってから20年経ちます。例えば私の化学が分かりやすいと感じた人は数学も物理も同様に分かりやすいと感じると思います。